• 当社独自の熱交換器技術

当社独自の熱交換器技術

products

タビレントチューブ

昭和51年、当社は奇妙な形をした伝熱管をもつ多管円筒式熱交換器を販売開始します。捻じれた様な形状の、この伝熱管は「タビレントチューブ」と呼ばれ、多管円筒式熱交換器の大幅な高性能化をもたらしました。

乱流効果で伝熱効率アップ

多管円筒式熱交換器は、伝熱管を多数束ねた「管束」を、胴体である円管内に配置し、伝熱管の内と外の流体間で、熱の授受を行う、最もポピュラーな熱交換器です。

unnamed

↑多管円筒式熱交換器イメージ図
胴側の『熱い流体』の熱を管側の『冷たい流体』へ複数本の伝熱管を通じて伝えているイメージ図です。

直管の伝熱管をタビレントチューブに置き換えると、なぜ、熱交換器が高性能化するのでしょうか。以下、伝熱管の中を高温のお湯、外に冷水を流して熱交換している例で説明しましょう。

直管内を流れるお湯は、比較的整った流れ(層流)で流れていきます。管壁を通して管外の冷水へ熱を伝えながら流れていくのですが、層流であるが故に、壁面近傍の温度が下がったお湯は、膜の様に層を形成したまま流れていきます。
壁面との摩擦や、温度が下がったことによる粘性の増加でこの層は、中心部の熱いお湯に比べて流れる速度も遅くなります。これを境界層と呼び、このままでは熱いお湯の熱は、速度の遅い境界層に阻まれて冷水へ伝わることなく流れ去ってしまいます。

unnamed (1)

↑直管内の境界層の例

一方、タビレントチューブ内に同じ流量のお湯を流した場合、その独特の形状により、お湯は、かき乱された流れ(乱流)で流れていきます。(下図)
この乱流が故に、境界層の生成を防ぎ、または生成されても直ちに壊してしまうことから、お湯から冷水への伝熱が滞りなく行われます。当社検証値で、直管の2倍の、高い伝熱性能を発揮します。

unnamed

unnamed (1)

↑タビレントチューブ内の解析の例
信州大学様で解析頂いた「流速」の分布です。 ※温度分布ではありません。

熱交換器の性能を表す数値として総括伝熱係数があります。伝熱性能を表す数値です。タビレントチューブの乱流効果のおかげで、同じ条件で設計した場合、タビレント熱交換器は、直管熱交換器に比べて1.1倍~1.5倍の総括伝熱係数を得る事が出来ます。(下図)

この数値の差はそのまま、伝熱面積に比例しますので、タビレント熱交換器は、直管熱交換器より10%~50%も伝熱面積が少ない状態でも同じ伝熱性能を発揮することになります。

つまり当社のタビレント熱交換器は、直管熱交換器よりもそのサイズを小さくすることができ、設置場所の省スペース化と、使用する材料の低減が図れる、エコノミー&エコロジーな製品なのです。

unnamed (2)

↑直管とタビレントチューブの総括伝熱係数の違い

unnamed (3)

↑大きさの違いのイメージ

その他の効果として、タビレント熱交換器の胴側・管側の流体は、直管熱交換器に比べて、比較的少ない流量から乱流状態になるため、伝熱管が汚れにくい事です。結果、化学洗浄などのメンテナンス周期を長くとることができ、経済的かつ環境保全を保ちます。また、タビレントチューブの特異な形状は、直管に比べて弾性を持ちますので、固定管板式熱交換器において注意するべき熱応力の緩和にも役立ち、高寿命が期待できます。